New Features in MapleSim - High-Performance Multi-Domain Modeling and Simulation - Maplesoft
MapleSim 2017最新機能
バージョン 2017



MapleSim 2017製品ファミリでは、新規及び改良されたモデルの開発機能や解析ツール群、モデリング対象の拡大、新しいデプロイメントオプションの提供、そして強化されたツールチェーンとの接続性を提供しています。


モデル解析

MapleSim Appsでは、強力なMapleベースの解析機能やユーティリティツール群をMapleSimの環境下でポイント&クリックでの利用を実現します。MapleSim 2017では、既存ツール群の強化と同様に、モデルの解析を手助けするための新しいMapleSim Appsが追加されています。

モデル初期化

ご利用のモデルに対して適切な初期値を選択することは、究極なまでに重要である一方、大変困難なタスクでもあります。MapleSim 2017では、どのように初期値を計算しどの程度初期値を調整するかを決定するための新しい初期値診断アプリ(Initialization Diagnostics App)により、初期値計算のタスクを大幅にシンプルにするためのツール群を強化しています。

  • 初期値診断アプリでは、初期値計算を正しく実行するために各変数がどのように計算されるかを表示し、お使いのモデルでの初期値計算の過程を追跡します。
  • 選択した変数の初期値を上書きした上で異なる設定をテストし、Appがお使いのモデル内の他の変数の初期値にどのように影響しているかを表示します。
  • 特定変数の初期値がどのように計算されるか厳密に決定するために、変数名で検索参照した上で変数及びその値の計算過程を追跡できます。
  • 初期値計算に失敗した場合、Appは失敗時点での全変数の計算結果を表示し、失敗の根本原因の調査を可能にします。

振動解析

新しく追加されたモーダル解析アプリ(Modal Analysis App)では、対象とする機構系の固有振動モードの分析・調査を可能にし、どの振動モードが設計上もっともインパクトを与えるものかを特定し、最終製品における振動状態の削減を可能にします。例えば、フルビークルモデルのすべてのサスペンションに対するモードを抜き出したり、ロボットの固有振動数を解析して設定値をどのように変更するべきか、といった処理を実現します。モーダル解析アプリでは:

  • 機構系に対する固有振動モードの計算及び可視化を実現
  • マルチボディ系の制約をもったシステムを含む、あらゆるマルチドメインなMapleSimモデルとの連携が可能
  • 線形化したモデルから減衰項を除去するオプションを用意しているので、非減衰固有振動数の計算が可能


その他のMapleSim Appの改良点

複数のMapleSim Appでは拡張された機能を提供しています。

  • パラメータスイープ(Parameter Sweep)、モンテカルロ法(Monte Carlo)、及び最適化(Optimization)アプリでは、それぞれのアプリで結果を導出するために使用されているMapleコードを提供しているので、自由に再利用することが可能です。この変更により、まずは標準で用意されている対話的なアプリで分析の最初のステップを行い、その後用意されたコードを用いて特定アプリ用のカスタマイズをすることが可能になります。
  • 別売アドオン製品であるMapleSim Battery Library内のパラメータ同定アプリ(Parameter Identification App)が改良され、ユーザ提供の充電・放電データが異なる温度に対応し、プロットではスライダーの変更で連続的にグラフが更新されるようになっています。

モデル開発

MapleSim 2017には、ユーザのシステムレベルのモデル開発をより簡単にするための数々の新機能や改良点が含まれています。

  • MapleSim 2017では100種以上の新規コンポーネントが追加され、電気ライブラリのパワーコンバータ類や磁気ライブラリでのヒステリシスを含むコンポーネントや準静的(quasi-static)コンポーネントのサポートの拡張などが施されています。
  • Modelica®コードエディタを用いることで、Modelicaベースのカスタムコンポーネントの作成がより一段と容易になりました。エディタの追加により、MapleSimや他のツールで作られた既存のModelicaコンポーネントに対して、そのコンポーネントの構造がどういうものかを理解した上で修正や改良を施し、即座に新しいMapleSimコンポーネントとしてお使い頂くことが可能です。
  • MapleSimは、当社製品の中では最新のModelica 3.2.2標準ライブラリに基づいています。
  • マルチボディコンポーネントライブラリでは接触(コンタクト)モデリングのパフォーマンスの改良を実現しています。
  • より多くの変数のプロットを行った際のプロット能力の改善及び反応速度の改良が施されています。
  • MapleSim 内でLLVM®によるコンパイラインフラストラクチャが適用・統合されたことで、インストール作業が簡易になりました。これはMapleSim及びアドオン群を64-bit Windows環境下で利用する際にMicrosoft® Visual Studio®が不要になることを意味しています。

新製品!
MapleSim Heat Transfer Library from CYBERNET

新しく追加された MapleSim Heat Transfer Library from CYBERNET を用いることで、設計対象におけるオーバーヒート対策やパフォーマンス向上のための改善をするために、システムモデルにおける包括的な伝熱効果の検証を可能にします。 このライブラリは、発熱が懸念されるあらゆる状況に関するモデルのシミュレーションを実現し、更にモータ、バッテリ、プリンタ、製造装置といった、発熱部品との接触状態が変化するモデルであってもその構築をサポートします。

  • モデルにおけるシステム全体の伝熱現象の理解
  • 他の専門ツールとは異なる形でシステム設定における迅速なテストを実現し設計値に反映
  • 離散化した簡易形状を用いることによるシステムレベルシミュレーション
  • 材質を考慮した物性値のカスタマイズ

ツールチェーンのコネクティビティ

MapleSimには、各種モデリングツールからのモデルのインポートや高度に最適化されたMapleSimモデルのコードを他のシミュレーションツールで利用するためのエクスポート機能等、組織内のツールチェーンとのスムースな統合を可能にするための機能やアドオン製品群を用意しています。MapleSim 2017製品ファミリではこれらツールチェーンとの統合をさらにサポートしています。

  • MapleSim Connector for FMIでは、線形化アプリやスティフ型ソルバーを含むFMUでの利用時に決定的となる方向微分をサポートすることで、あらゆる種類のFMI互換ツールとの連携を実現します。
  • CADモデルをMapleSimにインポートするためのMapleSim CAD Toolboxでは、最新バージョンのInventor®, NX®, SOLIDWORKS®, CATIA, Solid Edge®等をサポートしています。

新製品!
MapleSim Explorer

MapleSim Explorer は組織内で開発されたMapleSimモデルを費用対効果の高い形で配布・展開します。MapleSim Explorerにより、他のユーザの設計上の意思決定に役立たせるためのナレッジをMapleSimモデルに埋め込んだ形で利用可能にします。結果として、モデル作成者とモデル利用者の役割を明確にし、組織内でのシステムモデルの有用性を高めることが可能です。

  • MapleSimモデルのシミュレーション実行
  • モデルパラメータの変更をサポート
  • モデル内のあらゆる変数のプロットや分析
  • 時間領域シミュレーションと3Dシミュレーションとアニメーション 
  • MapleSim Result Managerによる、パラメータを変更した際のシミュレーションとその分析
  • コンポーネント定義、パラメータの標準値、及びモデルダイアグラムの閲覧
  • パラメータスイープや最適化、モンテカルロ法などのMapleSim Appsを利用したモデルの分析

MapleSim Explorerは、MapleSimモデルに基づくウェブブラウザでの対話的シミュレーション・プラットフォームであるMapleSim Server の補助的な配布ソリューションとしてもご利用いただけます。